第1章 序曲



その日は、日本中が快晴に恵まれ素晴らしい陽気となった。そんな中、ここ、静岡県浜名市にある「静岡県立浜名工業高等学校」は、今日、素晴らしい天候のなか、入学式が行われた。新入生がぞくぞくと大きい正門をくぐるのを、三階の渡り廊下から上級生が見ていた。その中でも、特に目立っていたのは渡り廊下の端から見ていた二人の三年生であった。まず、髪に少しウェーブがかかった背が中くらいの青年が話しかけた。

「もうこんな時期なんだな。早いもんだよな、一年て。」

「・・・そうだな。」

と、ぼそりと答えたのは、髪は短く、背が高い、静かな青年だった。すると、中央校舎から先生らしき男が歩いてきた。

「おや、大志に大井場じゃないか。こんなところでなにやってるんだ?昼休みはそろそろ終わるぞ。」

その先生らしき男は、作業服を着、メガネをかけ、いかにも優しそうな先生だった。すると、大志と呼ばれた青年が答えた。

「こんにちは、先生。俺たちは今、新入生を見てたんですよ。」

「そうか。でも、見てどうするんだ?」

「ほら、いい人材は早く見つけろって先生言いましたよね。」

「ハハハ。二人とも、気が早いな。それより、受験勉強をしっかりやっておくんだぞ。」

そういうと、メガネの先生は南校舎のほうへ去っていった。すると、今度は大井場と呼ばれた青年が口を開いた。

「なあ、大志。そろそろ行かないか?休みが終わるぞ。」

「ああ。」

そう言うと二人も南校舎へ姿を消した。

一方、正門では、相変わらず人の群れが絶えなかった。校内へと急ぐ新入生。それを追いかける親。例年の風景だった。ここで、この学校の説明をしておく。この学校では、科が7つに分けられている。情報技術科(Ei)、電気科(E)、機械科(M)、デザイン科(D)、システム化学科(C)、土木科(P)、建築科(A)が、その七つの学科である。この学校は普通高校とは違い、各カリキュラムにはその科独自の「特別科目」がある。例えば、デザイン科はデッサン、情報技術科は情報技術基礎、電気科は電気基礎、と言った風である。そして、この学校が誇れることといったら、それは「就職率が百パーセント」ということであろう。この学校は昔から企業とのふれあいがあり、毎年秋になるとその企業から求人票がくるのである。それを、希望をとり重なった場合は校内選考をし、内定が決まる。これだけの優秀な学校は、県内といえどもさほど無いだろう。そこが、この学校の「自慢」であるといえる。

話を戻す。そして、父兄の入場が終わったところで、入学式が始まった。そこには、先ほどの作業服の先生もいた。さすがに入学式だけあり、スーツ姿に変わっていた。式次第は順調に進み、最後の閉式の言葉が終わったころには、新一年生は疲れている様子だった。そのまま生徒は各々の教室へ行き、担任の先生の説明を受けるのである。そして、この物語の主人公、佐藤昌直、藤井真治はともに情報技術科としての運命の出会いを果たすこととなる。そして、この出会いが後に大きな影響をもたらすこととなるのは、誰も知らなかった。


第1章 END




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