*****| 第7章 〜終章・作戦後の日本一〜 |*****


 作戦から一日がたった。必死の捜索が行われたが、伊戸田と長谷部は跡形もなく消えていた。昨日の東海大地震はマグニチュード9.7。考えられなかった。静岡一帯は壊滅。さらに、遠州灘、駿河湾では30メートルという巨大な津波が観測され、民家を押し流した。死者は一向に数値が増える一方だった。
政府は、いっこうに「成功した」という見方を強めている。よって、東京一帯には避難勧告は出されなかった。しかし、完全に断層は破壊されたとは断言できない。そう浦部は政府に進言したが、一笑された。どこまで、この国の政府は腐っているのか。
その後、気象庁は緊急会見を開き、今回の地震について詳細を知らせた。かくして、日本列島を恐怖に陥れた大連鎖地震は終焉を迎えた、と誰もが思った。しかし、「審判の日」は無残にも最後の力を振り絞り、日本の首都・東京を襲った。
会見から二日後の午前9時42分。東京湾を震源とした最後の大地震、東京湾大地震発生。マグニチュードは10.5。史上最強の地震だった。これにより東京タワーは地上150メートルから粉々に折れ、都庁は倒壊、あちこちで火災旋風が発生し、下町では液状化現象に襲われた。首都圏はほぼ焼け野原であった。日本は、この瞬間に「助ける」国から「助けられる」国になった。一日で日本は間逆の立場になったのである・・・・。

 それから、一年がたった。一年という月日は、今回の連鎖地震の詳細を語ってくれた。それは、気象庁ならびに東都大学地震研究所の見解だった。
まず、東京湾大地震が起きたことについては、最後の爆弾の爆発の位置が浅かったことである。そして、もう一つの謎である、「なぜまた連鎖地震は起きなかったのか」については、断層が東京湾大地震を起こした際、自らもその莫大なエネルギーに耐え切れず、自壊したからだという。
一方、桜木は東京湾大地震で怪我を負ったが助かり、今は実家の山形県にいた。ずっと上を向いて、考えていた。なぜ、私は伊戸田を止められなかったのだろう。そう考えると、涙があふれてきた。もう伊戸田亮という人間はこの世にいない。そして、考えて分かったことが一つだけあった――――。
伊戸田のことが好きだということ。今頃気づいても、遅かった。今、自分にできることは、彼の冥福を祈ることだけだった。毎週、欠かさず墓参りに言っている。そこで、その日起こったことなどを話すのだ。それだけで、自分の後ろに伊戸田がいてくれるような感じがした。
しかし、自分は失ったものばかりではなかった。伊戸田は、自然に人間が打ち勝てることを証明してくれた。それは、人類にとって大きな一歩になった。もちろん、このことに海外が注目しないわけが無い。各国でも、伊戸田亮は堂々と報道された。

そう、「祖国を救った真の英雄」として・・・・・。

大連鎖地震・完

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